議会報告ASSEMBLY REPORT

2022.11.01 カテゴリ:令和4年9月定例議会 3.がん対策の現状と今後の取組方針について

<質問>

(1)「がんで亡くならない県 日本一」を目標としてがん対策に取り組む中、令和6年3月に「第3期奈良県がん対策推進計画」の終期を迎えるところ、第4期計画策定に向けた検討の方向を伺いたい。

(2)奈良県立医科大学を中心としたがんゲノム医療への現在の取組状況を伺いたい。

 

(知事答弁)

本県では、第3期奈良県がん対策推進計画を実行中です。その終期は令和6年3月です。そこから4期のがん対策計画を作成する必要がありますが、「がんで亡くならない県 日本一」を引き続き目指していきたいと考えております。

 

がん死亡率を日本一低くするための取組ですが、「予防」「早期発見」「がん医療の充実」を中心に進めてきております。また、分野別のがん対策に体系的に取り組んでいるところです。現在、第3期計画の中間評価結果や、がん対策の最新動向も踏まえながら、医療従事者、行政はもとより、患者団体などの県民の方々も広く参画した「がん対策推進協議会」において活発な議論を行っているところです。

 

第3期計画においても、がん検診受診率を上げることで、がん死亡率に良い影響があると思われるところがありました。国の基本計画でも、5種類のがん、胃・大腸・肺・乳・子宮について、検診受診率50%を目標に掲げています。

 

国・県ともに令和元年時点では、どの種別の受診率も50%を超えていない状況ですが、奈良県のがん検診受診率は、統計を取り始めた平成19年から、5種類のがん全てで大きく向上している実績があります。

 

また、個別のがん罹患情報を集約した奈良県のがん登録データを分析したところ、がんが早期の段階で診断されている人の割合は、向上しており、がん死亡率の低下と相関関係があることが分かってきています。

 

このことから、がん検診を受診する人が増えることが、がんの早期発見の割合を高め、ひいてはがん死亡率の低下に好影響を与えているものと考えています。

 

県では、県民一人ひとりに対するがん早期発見のための行動変容を促す取組が重要であると考え、市町村に対し、効果的な受診勧奨を行うための支援を行うほか、県民や事業者に対し、がん検診の大切さを伝えるための普及啓発活動として、毎年10月10日の「奈良県がんと向き合う日」にあわせて「がん検診を受けよう」奈良県民会議を実施しています。併せて、地域別や年代別のがんのデータに基づき、地域・年代にあった効果の高い周知・啓発方法の検討を行い、次期計画を実効性の高いものにしたいと考えています。

 

次に、がんゲノム医療について申し上げます。本県においても、近年大きく取組が進展いたしました。令和4年3月にがんゲノム医療を行う「がんゲノム医療連携病院」として新たに市立奈良病院が指定されました。これまでの奈良県立医大附属病院、奈良県総合医療センター、天理よろづ相談所病院、近畿大学奈良病院に加えて5病院となりました。また、令和2年10月には、奈良県立医科大学にがんゲノム医療を担うがん薬物療法専門医等の人材育成及び研究の場として、「がんゲノム・腫瘍内科学講座」が設置されたところです。その結果、県内のがん薬物療法専門医は、令和元年度の5人から、今年度は12人に増え、体制が充実してきています。

 

この「がんゲノム・腫瘍内科学講座」では、医師だけでなく、看護師、薬剤師、医学物理士などを対象とした他職種向けセミナーの実施や、看護師、相談員を対象としたがんゲノム医療コーディネーター研修会の受講者公募など、相談から検査、治療までの一貫した医療体制の構築にも取り組んでいます。

 

がん対策推進計画は、がん対策推進条例の理念を実現するための、具体的な対策の取組指針です。がん検診受診率の向上や、がんゲノム医療の進展など、これまでの諸成果も踏まえ、実効性のある次期計画の策定に取り組んでまいります。

 

 

前のページヘ戻る

メール
小泉米造の相談室

見ます・聴きます・そして実行します
【事務所】TEL:0743-52-5177