議会報告ASSEMBLY REPORT
2022.11.01 カテゴリ:令和4年9月定例議会 1.リニア中央新幹線について
<質問>
リニア中央新幹線にかかる動きが活発になってきた中、「奈良市附近駅」の位置・県内ルートの決定に向け、今後、どのように取り組むのか。また、「奈良市附近駅」が設置されることは、駅周辺のまちづくりのみならず紀伊半島全体にわたる広域的な活性化にもつながると期待されるが、知事の所見を伺いたい。
(知事答弁)
リニア中央新幹線の整備は、これまで国土軸から外れていた奈良県の活性化につながる国家プロジェクトです。本県にとっても大きな飛躍のチャンスだと思っています。私はこれまで、15年後の2037年に全線が開業できるよう、名古屋・大阪間の環境影響評価手続きを速やかに開始していただきたいと、繰り返し、JR東海及び中央に要望してきました。
こうした中、今年になって大きな転機が訪れました。まず、6月に閣議決定された「骨太の方針」に、「来年の2023年から名古屋・大阪間の環境影響評価に着手できるよう、沿線自治体と連携して、必要な指導、支援を行う。」と、国の方針が初めて明記されたところです。また、岸田総理からも、駅とルートの決定に向けて知事が強いリーダーシップを発揮してほしい旨のご要望を、直接いただきました。大きな変化であると思います。
リニアの駅位置やルートを最終的に決定するのは事業主体であるJR東海ですが、このような姿勢を国が示されたことで、決定までのプロセスにおいて、地方の関与がより重要な意味を持つようになったことは、大きな変化だと感じています。
今後、奈良市附近駅の位置および県内ルートの決定に向けては、2つの分野の要素があります。まず、「工事に直接関わる事項」として、①用地取得の確実性、②発生土活用先の確保、③文化財・環境等への配慮、の3つだと思います。また、「地域として大きな関心を有する事項」も3つありますが、④交通結節性の確保、⑤駅周辺のまちづくり、⑥地域全体の将来的な発展可能性、だと思っています。
このうち、交通結節性につき、JR関西本線など在来線との接続や、広域的な移動を円滑にする高速道路との接続などを考慮すると、事実上、JR平城山駅付近、JR新駅周辺、JR関西本線と近鉄橿原線が交差する場所付近の3つの候補地が対象になると考えています。
奈良市附近駅の駅位置および県内ルートの決定は、奈良県全体の発展にとって極めて重要な事項です。今後、事業主体であるJR東海とも緊密に協力し、いま述べた6項目の課題の解決に向け、検討を進めてまいります。
次に、リニアの整備を、南部・東部地域を含む本県の発展や、議員ご指摘の紀伊半島全体の活性化につなげる観点からは、交流人口の拡大や観光振興を図ることが極めて重要だと思います。
その観点から、県ではリニア奈良市附近駅と関西国際空港を直結する接続線を整備する構想の検討を進めています。この構想を実現することで、インバウンド観光客やリニア利用者を、本県の世界遺産や近畿南部の観光地に誘客することが可能となり、より広範な観光ルートの形成が期待できます。
リニア建設の工事開始までには、4つの段階があります。
①基本計画の決定、②整備計画の決定、③環境影響評価、④工事施工認可
で工事を開始することができます。名古屋・大阪間は、前の2つは出来ておりますが、後の2つがまだです。
この基本計画の決定は、49年前に決定されたわけですが、当時、奈良県八木町出身の運輸大臣でおられました新谷寅三郎さんが大臣告示において、経由地として、奈良市附近駅を、明記されたところです。49年前に、奈良市附近駅が既に新谷寅三郎運輸大臣の下で明記されていたものです。来年、環境影響評価が開始されますと、新谷運輸大臣が投げられたボールが50年ぶりに奈良の地に落ちてくるような感じです。やっと来たかという感じですが、ちゃんと受け止めなきゃいけないという風にも思います
来年からの環境影響評価手続きの開始がされますと、駅位置及び県内ルートの決定が、事実上、同時に行われることも見通せます。大事な年を迎えることと思います。引き続き、関係者と連携し、取り組んでまいります。