議会報告ASSEMBLY REPORT
2020.12.22 カテゴリ:令和2年11月定例議会 1.県内で発生した高病原性(こうびょうげんせい)鳥インフルエンザへの対応について
<質問>
高病原性(こうびょうげんせい)鳥インフルエンザへの対応について、知事にお伺いします。
先週の5日に、五條市の養鶏場において、高病原性(こうびょうげんせい)鳥インフルエンザが発生いたしました。
高病原性鳥インフルエンザは、家畜伝染病のひとつであり、農場内で1羽でも発生すると、病気のまん延を防ぐため、法に基づき速やかに、農場内の全ての鶏を殺処分した上で、焼却処分または埋却(まいきゃく)処分を行わなければならないと聞いております。
本年11月以降、香川県において高病原性(こうびょうげんせい)鳥インフルエンザが続発し、福岡県や兵庫県、ブロイラーの飼育数が日本一で「養鶏王国」と言われる宮崎県、今週は広島県など各地で発生が続いており、奈良県を含めて6県で、おおよそ200万羽の鶏が殺(さっ)処分(しょぶん)されるとのことです。
精魂込めて育てたにも関わらず、全ての鶏の殺(さっ)処分(しょぶん)を余儀なくされる養鶏農家の方々の気持ちを思いますと、「心が痛む」という言葉だけでは言い表せないものがあります。
また、風評被害も含め、全国の養鶏農家の方々が被る経済的被害、精神的な打撃は甚大なものがあります。
加えて、高病原性(こうびょうげんせい)鳥インフルエンザは、発生した養鶏場だけでなく、周辺の養鶏場も一定の期間、鶏や卵の養鶏場の外への移動制限や、指定区域外への出荷制限を受けることになります。
高病原性(こうびょうげんせい)鳥インフルエンザの発生が続く状況の中、県内の養鶏農家の方々は、これまで以上の緊迫感を持って過ごしておられるのではないかと思います。
私の地元、大和郡山市にも3軒の養鶏農家がおられます。それぞれ特徴のある魅力的なプライベートブランドの卵や大和畜産ブランドのひとつである大和肉鶏を出荷されています。
養鶏農家の方々は、普段から農場の衛生管理を徹底されているとお聞きしていますが、見えない敵であるウイルスとの戦いという意味では、高病原性(こうびょうげんせい)鳥インフルエンザ対策は、新型コロナウイルス感染症対策とも共通するものがあるのではないでしょうか。
そこで、知事にお伺いします。
五條市で発生した高病原性(こうびょうげんせい)鳥インフルエンザを、県内にまん延させないための対応について、現在の状況をお聞かせください。
また、今後、被害を受けた養鶏農家をはじめ、県内の養鶏農家をどのように支援していかれるのか、あわせてお伺いします。
(知事答弁)
本県は過去平成23年2月に一度、高病原性鳥インフルエンザを経験しています。
本県では今回2回目となります。
11月5日に香川県で今年1例目となる高病原性鳥インフルエンザが発生いたしました。
各地でも発生が続いていたことから、早期の終息を願っていましたが、12月5日に五條市内の養鶏場において、本県としては2例目となる高病原性鳥インフルエンザが発生しました。
早急に対策を講じる必要があることから、同日中に、特定家畜伝染病防疫対策本部を設置し、対応方針を協議・決定いたしました。
また、当該養鶏場は、県内でも有数の大規模養鶏場であることから、早期に防疫措置を完了させるため、直ちに自衛隊に対して災害派遣要請を行いました。
翌6日朝に、県職員100人、自衛隊100人の計200人体制で殺処分を開始し、支援協定を締結している奈良県産業廃棄物協会など関係団体の協力も得ながら、7日18時には、約7万7千羽全ての鶏の殺処分を完了することが出来ました。
7日からは、御所市内にある一般廃棄物処理施設において焼却処分を鋭意進めているところですが、県内近隣5つの処理施設にもご協力をいただき、できるだけ早期に、全ての焼却処分を完了できるよう取り組んでいるところです。
県内でこれ以上、高病原性鳥インフルエンザがまん延しないよう、引き続き、県内の全養鶏農家(49戸)に対して消毒用の消石灰を配付し、衛生管理の徹底を指導するとともに、効果的な消毒方法等、必要な技術的支援を行っていきます。農林水産省担当者によると、消石灰は効果的な消毒方法であると聞いております。
なお、発生以後、これら対応に要している当面の経費については、予備費を充当したいと思っております。
さらには、今後、被害を受けられた農家をはじめ、高病原性鳥インフルエンザの発生により、鶏や卵の移動制限等がなされた区域内の農家に対しては、家畜伝染病予防法に基づく損失補償や経営再開のための融資など、県としても国と協調しながら全力で支援してまいりたいと思います。