議会報告ASSEMBLY REPORT
2020.12.22 カテゴリ:令和2年11月定例議会 2.流域下水道事業の今後の見通しについて
<質問>
流域下水道事業の今後の見通しについて、知事にお伺いします。
奈良県では、県民生活の多様化に伴う公共用水域の水質悪化の防止を図るとともに、快適な生活環境の確保を目指し、昭和45年度から流域下水道事業に着手され、昭和49年に大和郡山市の額田部南町に浄化センターを設置し、その後、第二浄化センター、宇陀川浄化センター、吉野川浄化センターをそれぞれ整備され、河川の水質汚濁防止や水道水源の水質確保に、ご努力いただいております。
大和郡山市にある浄化センターは、1日の処理能力が32万立方メートル、下水道供用人口は66万6千人余りと、奈良県下の下水処理の約半分を1箇所で担う大規模な下水処理場となっています。
また、4箇所の処理場に公共下水道を接続している団体は、28市町村となっており、市町村ごとの整備状況にはバラツキがあるものの、住民基本台帳人口に占める処理区域内人口の割合を示す下水道普及率は、平成30年度末現在で80.7%と、全国平均である79.3%を上回っていると聞いております。
しかしながら、浄化センターの供用開始から、既に45年が経過し、施設の老朽化も進んでいると聞いております。流域下水道事業においては、県の保有する処理場や幹線管路、そこに接続する市町村の管路が一体となって下水処理を担っており、処理場施設の機械・電気設備の老朽化や、県や市町村の管路の老朽化を放置することは、下水処理機能の低下を招きかねず、これは住民の生活環境を維持する観点からも重大な問題であり、適切な時期に適切な施設更新を行うことが必要と考えます。
加えて、我が国の人口減少が加速するなか、今後、奈良県においても急速な人口減少が予測されており、これは下水排水量の減少にも繋がると予想されます。
こうした施設、設備の老朽化にともなう更新投資の増大、人口減少にともなう将来における料金収入の減少等により、流域下水道事業にも少なからぬ影響が生じるのではないかと懸念しております。
奈良県では、今年4月から、流域下水道事業に公営企業会計を適用されたことで、将来の下水道経営に向けた財政的な検討を行う素地が整ったと聞いております。
そこで、知事にお伺いします。
今後、人口減少が進み、処理場施設の老朽化も進む中で、下水道事業の経営にあたり、県ではどのような見通しを持ち、どう対応していくのか、お伺いします。
(知事答弁)
県が運営している流域下水道事業は、幹線管路や処理場機能を担っております。これまでの下水道施設の整備や管理運営により、県民の快適な生活環境の確保、公共用水域の水質改善、水道水源の水質保全等に寄与してきたものです。
これまで本県では、約3,400億円の建設投資を実施してまいりましたが、現在、国土交通省の定める標準耐用年数を経過した資産が約6割を超えており、施設の老朽化が進んでおります。今後、毎年度の更新投資額は現在の投資水準の2倍以上に伸びると見込んでおります。また一方で、人口減少により、今後の下水道使用量の減少も見込まれます。
こうした背景を踏まえて、市町村と連携して、中長期的な観点から、対応を行う必要があると考えております。
具体的な方向性として、①ストックマネジメント計画の策定による施設・設備のダウンサイジングをする必要があり、また、更新投資の平準化によりピークをつくらないようにする必要もあると思います。②維持管理費の縮減や、③県・市町村が連携した汚水処理施設の最適化、などの取組が必要と思っております。
既に本年4月からは、中長期的な視点に立った下水道経営を目指し、流域下水道事業に公営企業会計を導入したところです。引き続き、人口減少や施設・設備の老朽化を踏まえて、市町村とも連携しながら、流域下水道事業の将来にわたる持続的な経営を検討して、最適な解を見つけてまいりたいと思います。