議会報告ASSEMBLY REPORT
2019.12.26 カテゴリ:令和元年9月定例会 4 がん対策について
<質問>
(1)昨年度県が取りまとめたがん医療の見える化に関する報告書の成果を県民へ広く公表するとともに、市町村の現場へ還元していくことが重要であると考えるが、今回行われたがん医療に係る分析の成果を活用して、本県のがん対策をどのように進めていこうとしているのか。
(2)県内のがんゲノム医療体制の現状は、どのようになっているのか。また、今後、ゲノム医療を希望する患者が県内の病院で検査や治療を受けることができる体制整備が必要と考えるが、これからどのように進めていこうとしているのか。
(3)がんゲノム医療に関する正確な情報が求められるなか、患者や家族の方からの相談に対応できるよう「がん相談支援センター」の相談員の資質向上が必要と考えるが、どのように取り組もうとしているのか。
<知事答弁>
まず、がん対策のがん医療の見える化についてのご質問がございました。
議員にご紹介いただきました、ならのがん医療見える化推進事業には大きく二つの目的がございます。一つ目の目的でございますが、県民の皆様に県内のがん診療情報をわかりやすくお示しし、病院や治療方法を選択する際の参考としていただくことでございます。
あわせて、がんの診療情報を可視化することで医療機関ががん診療に係るご自身の強みや弱みを再認識するきっかけとなり、さらにそれぞれの診療の質が上がることを期待しております。
二つ目の目的でございますが、地域別にテータを分析し、地域の特性に応じたがん対策を市町村長や地域の方々に具体的に提案することでございます。まずは市町村の担当者に地域のがんの状況を知っていただき、予防や検診に生かせるよう、データの分析結果について丁寧に説明することから始め、市町村長への提言につなげたいと考えております。昨年は南和医療圏で取り組みを始めましたが、今度は分析の対象地域を拡大し、県全域に展開できるよう進めてまいります。我が町はどのがんが多いのか、どのがんが少ないのかといったことからがんの地域分析を始めたいと思っております。
また、今回、県民の五年相対生存率を初めて公表いたしました。分析を進める中で、がんは早期発見できれば治るもの、そのためには検診が重要ということが改めてわかりました。がんは治るようになってきたというメッセージを広く県民の方々に届け、受診率の向上を図りたいと思います。奈良県はがん死亡率はこの十年間で一番下落した県でございます。三十四位であったがん死亡率は六位まで下落いたしました。がんは奈良県では治るようになってきたということを県民の方々にも知っていただきたいと思っております。そのためにも受診率の向上に向けたデータの公表は重要でございます。年度内に県のホームページのがんネットならでわかりやすく情報提供できるよう、準備を進めてまいりたいと考えております。
本県のがん対策は医療関係者、市町村の保健担当者、県民や患者団体の方々など幅広い分野の方から意見をいただきながら進めてきたものでございます。今後も関係者とともにがん死亡率が全国一低い県を目指していきたいと考えております。あと六県抜かせば、一位になる予定でございます。
がん対策についてゲノム医療のご質問がございました。
近年、個人の遺伝子情報に基づき体質や病状に合わせて治療を行うゲノム医療への期待が高まっております。それを受けまして遺伝子関連検査の保険適用が認められ、また、拠点病院等の指定が行われるなど、がんゲノム医療の実施に向けた医療体制の整備が全国的に進んでおります。
本県におきましてもがんの死亡率のさらなる減少を図るよう、議員ご指摘のとおり、標準治療が確立されていないがんの患者や標準治療が効果のなかった患者への治療の選択肢を広げるため、ゲノム医療などの先進医療への対応が必要であると考えております。
ゲノム医療を行うには、検査を希望する方々からの相談、遺伝子の変異を調べる検査、がん治療の方針を検討する専門家会議、患者に適合する治療といった、これら一連の体制整備が必要でございます。
本県では県立医科大学附属病院と近畿大学奈良病院ががんゲノム医療連携病院に指定されております。中核拠点病院であります大阪大学附属病院と連携してがんゲノム医療を行っていく予定でございます。
県として希望する県民の方が県内で検査や治療を受けることができるような体制整備に係る支援に努めたいと思っております。例えば、全国的に見て本県ではゲノム医療に必要ながん薬物療法専門医が不足しております。人材育成に係る支援ができないか、検討を始めたところでございます。
また、患者やご家族の方からの相談対応につきましては、最新の情報や専門的知識が必要でございますので、がん診療拠点病院など九病院に設置されております、がん相談支援センターを中心に対応していただきたいと思っておりますが、相談員の資質向上に向け、県としても協力して取り組んでまいりたいと思っております。